ひきこもり

b1.png「おーい、新人。あいつらと一緒にカラオケ行かんか?」

sh1.png「いえ、私はそういうのは苦手ですから」

t1.png「人数が足らないわね・・・。仕方ない、アンタも来る?」

a1.png「は?お前らなんかと行けるかよ。俺は未来のビッグアーティストだぜ?」

k1.png「あらあら、それは楽しみね。エコちゃんはどうする?」

f1.png「えっ、わたしなんかが行っても皆さんの邪魔になるだけですし・・・」

n1.png「はぁ。ほんとに、どいつもこいつも協調性がないねぇ」


かうんさるーによるミニ講座
c3.png「それ、なや美ちゃんが言う?」

21世紀はひきこもりで始まったと言っても過言ではない。なーんて、そんなわけないね。過言にも程がある。けれど、ひきこもりという言葉は、1990年前後からボチボチ使われ始めて、2000年以降に社会的に有名になったというのは確かだね。

ひきこもりは、正確には医学的に定義されておらず、病気ではなく一つの状態像であると繰り返し言われて久しいね。不登校なんかもこれと一緒。だけど、ひきこもりという問題は大急ぎで対策を考えなくてはならないという事情が生じてきたんだよ。高齢化社会到来の予感だね。若者の労働力が貴重になっていく時代の中で、ひきこもりという問題が見過ごせなくなってしまったわけだ。行政が積極的に、精神保健福祉センターに「ひきこもり特定相談窓口」を作り始めたといった動きも見られたよ。加えて、ひきこもりより少し広い概念のニートという言葉が爆発的に広まり、全国に地域若者サポートステーションといった就労相談施設も誕生した(2010年現在約100ヵ所)。おちおち、ひきこもってもいられない世の中になってしまったもんだ。

さて、なぜひきこもる若者がこんなにも増えてしまったのか。実は、ひきこもり自体は実質的には増えていないっぽいんだ。実際には、こんなに多かったのか!ということが最近になってやっと明らかになったという方が適切かな。ひきこもりの特性上、家族から隠されてきたという側面があって、今までは正確な人数がわからなかったということみたい。そして、ようやく把握できた数は、なんとおよそ25万世帯に及んだ。これは、少なくとも25万人いるということで、一家に二人ひきこもりがいれば倍になるし、まだまだひきこもりは隠されてしまっていることも多いから、仮に50万人いると仮定してみても日本人の0.5%、つまり200人に1人いることになるね。わかりやすく比較しておくと、近年うつ病患者(※気分障害患者)が100万人に迫ったといった新聞記事が出たから、そのちょうど半分くらいだね。

従来、ひきこもりは大きく2つに分けられていたよ。
@「精神疾患が原因ではないひきこもり」
A「精神疾患が原因のひきこもり」

@のひきこもりは、「社会的ひきこもり」と呼ばれることがあるよ。精神疾患はないけれど、何か似通った共通点があり、ひきこもるという行動をとってしまう一群に名前をつけたんだね。この呼称を普及させた精神科医の斉藤環氏は、近年は、ひきこもっていることだけでなく、そこから派生した精神疾患なども含めて治療したほうがよいという意味から「ひきこもり関連性障害」という、より広い概念を提唱しているよ。

一方、Aのひきこもりは、例えば統合失調症では、スパイに狙われていると思い込んでひきこもったりするし、強迫性障害では、バイ菌に感染することが心配でひきこもったり、パニック障害では公衆の場でまた発作が起きたらどうしようと考えてひきこもったりするというもの。

だけど、それらを「ひきこもり」と言っていいかといえば、だめだと思うんだよね。ややこしいから、精神疾患が先立っている場合は、単に「外出しない」という行動的記述にすべきなんだよ。@のひきこもりとはまるで違うんだから。

最近、ひきこもりを3つに分ける考え方をスタンダードにするという研究報告が出されたよ。
@精神疾患に関連したひきこもり
A発達障害に関連したひきこもり
Bパーソナリティ障害に関連したひきこもり

このうち、ボクが専門にしているのはBなんだ。繰り返すけど@はひきこもりと言うべきじゃないと思っているし、Aはひきこもりっていうか、外出しない「こだわり」なんだという印象が強いよ。まだ、こうした分類のもとでの研究は進んでいないから、ここからは仮説。

ボクは、パーソナリティ障害に関連したひきこもりには3パターンあると考えているんだ。パーソナリティ障害は下位分類が10あるけど、その内、3つのパーソナリティ障害がひきこもりに大きく関係していると考えているわけ。それは、スキゾイドパーソナリティ障害、自己愛性パーソナリティ障害、回避性パーソナリティ障害だ。・・・ふぅ、やっと言いたいことに辿り着いたよ。

「自分自身でいたいひきこもり」≒スキゾイドパーソナリティ障害

スキゾイドパーソナリティ障害の特徴を一言で言えば、孤立を好むということ。感情表出がなく、何考えてるかわからず、コミュニケーションを楽しまない。一方で、知的探究心は旺盛で、読書に没頭したり、世の中の“仕組み”なんかを解き明かそうとしてたりしているといった一面があるかな。インターネットの利用状況を予想してみると、ネットサーフィンを中心にしているといえるかも。それも、誰かのブログを読むとかではなく、ニュースや知識のページに限ってね。基本的に、ひきこもり状態に親和性が高くて、飽きがこないから長期化するだろうね。

「特別でありたいひきこもり」≒自己愛性パーソナリティ障害

自己愛性パーソナリティ障害の特徴は、自分は特別な存在だと思っているということ。ひきこもりという自覚は極めて薄いよ。ひきこもっているんじゃなくて、「こんなに才能のある自分をどうして社会はピックアップしないんだ」みたいに思って不遇を嘆き、世に見出されるのを待ってるといった感じ。実際にしていることは、そんなイライラした気持ちを家族にぶつけているだけなんだけどね。インターネットの利用状況を予想すると、掲示板への書き込みが多そうかな。主張や反論ばかり書いているんじゃないだろうか。そして、他人の書き込みをバカにしたりして、一瞬でも自分だけが特別で、いろんな物事をわかっていると優越感にひたる。そんな感じだから、コツコツと努力したりするのは苦手だし、いつまでたっても有言不実行、ひきこもりは長期化するかもね。

「普通になりたいひきこもり」≒回避性パーソナリティ障害
回避性パーソナリティ障害の特徴は、失敗や恥をかくのが怖いということ。ひきこもっているということさえ物凄く恥ずかしく思っているよ。一人でいても恥ずかしい、人と会っても恥ずかしい。本当はそんな葛藤に満ちているんだけど、葛藤が強すぎると辛いから、ひきこもっているという事実を意識から忘れるようにしてしまう場合もあるみたいだね。そうすると平然と過ごしていられる。昼夜逆転して、日中自分が働いていないことから目をそらすということもよく見られるね。インターネットの利用状況を予想すると、オンラインゲームに夢中になっていることが多そうかな。結構、人とのコミュニケーションに飢えているからね。ゲームの中では、もしかしたらすごく人当たりの良い人だったりするのかも。そんな世界でうまくいっちゃうと、ひきこもりは長期化するんじゃないかな。

以上、3つのパターンを区別してみたけど、あながちそんなに的外れでもなさそうなんだよね。インターネットの利用状況については、学術的な証拠とかはないからネタとして読んでくれてもいいけど、3つのパーソナリティ障害自体との関連性は、いろんな研究者が言及しているから信頼性は割と高いよ(※でも、この3つだけを明確に関連づけている人は知らない。この内、スキゾイドと回避性、自己愛性と回避性、その他、強迫性や境界性なんかと2つくらいを関連づけている人は結構多い)。

うーん、やっぱり専門にしているところはどうしても詳しくなるし、適当に書けないもんだなぁ。長くなってしまったけれど、全然これでも書き足りない。とりあえず、今日のところは、最後まで読んでくれた人にとって少しでも役に立つものであればいいのだけれど、と願って終わりにしておくよ。

平成15年 ひきこもり対応ガイドライン 厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/topics/2003/07/tp0728-1.html

平成22年 ひきこもりの評価・支援に関するガイドライン 厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000006i6f.html
【ひきこもりの最新記事】
この記事へのコメント
引きこもりの子どもを持つ親だって 死にたくなってしまう、うつになってしまうことがあるって 不思議な事ですか? 親 失格?! 自他の区別が出来てないと?家族依存性について教えてください。
Posted by コスモス at 2013年02月27日 20:17
不思議ではありません。親失格でもありません。ただ、自他の区別はできていないと思います。とはいえ、だからダメだというわけではありません。
死にたくなってしまう気持ちは、おそらく、ひきこもりの子どもが感じるはずのものです。けれど、子どもはその気持ちを抱えておけるほど心理的に発達していませんので、かわりに親がひきうけるという形になってしまうことが多いのです。
つまり、辛さを肩代わりしているわけなので自他の区別はできていないということなのですが、だからこそ、親という存在は大事だし、居るだけで子どもにとっては救われる存在なんです。
その辛さを子どもに返さず、親自身がカウンセリングなどを利用して、気持ちの整理をつけたりすることが、ひきこもり支援で大切なことです。
Posted by モンキークリニック所長 at 2013年03月04日 10:05
元当事者です。あ、半分位は現在形かも(笑。
パーソナリティ障害の3つのタイプとひきこもりの関連について、本当にその通りだと思います。
PDや発達障害等についてはまだ勉強不足なのですが、場合によっては(部分的にでも)この3つの性質が同居したり、社会的場面によって表に現れる性質が変化する事はありうるでしょうか?
私自身、自己愛と回避の傾向は強い自覚があり、その克服(コントロール)を!と頑張ってきたのですが、これまで真っ向から否定してきたものの「本当は自分を変えられたくないし、周りを変えたくない」という思いは常に根底に持ち続けていたのではないかと感じる事が最近あったので。
体に持っているアレルギー体質が、性格にも表れているような感覚です。
Posted by メタトロン at 2013年06月23日 02:51
書き込みありがとうございます。半(?)当事者の方からのコメントは大変参考になります。

さて、一般的な自己分析の範囲内では、「スキゾイド、自己愛性、回避性の3つは、同居することもあるし、場面によって現れ方が変わるということもある」と捉えておいても差し支えないと思います。
ただ、より専門的に心理学的につきつめていけば、その3つが同時期に同じ強さで現れるということは考えにくいです。
「メインが1つで、そこから派生したサブが2つ」くらいに考えておくといいと思います。
Posted by モンキークリニック所長 at 2013年07月16日 23:52
助けてください
Posted by いさおらぶ at 2014年06月25日 00:45
誰か助けてください
Posted by いさおらぶ at 2014年06月25日 00:47
すみません。
Posted by モンキークリニック所長 at 2014年07月14日 10:37
今の定義では精神でなく身体の病気や障害で、社会に出て来られない人でも、引き篭もりやニートに分類されてしまう。

斎藤環氏は何でも精神の所為にしてたので、社会学からツッコミを受けました。これを反省したのか心理学化する社会を書かれてます。

何故精神科医でさえも産業構造を無視し、個人に責任を押し付けるようになったのか?

それは女性が高学歴化すると、男性に頼らない生き方を選択できるようになるので、少子化が全世界例外なく起こり、エリートはエリートだけと結婚し、エリート層で引き篭もることが出来るようになりました。その為に階級は世襲され、社会は細かく学歴で分断されました。その結果、自己実現、恋愛、金儲けに走りだし、過剰なまでに自己を気にかけるナルシスト層が産まれたのです。そのナルシスト達はエリートに課された義務を果たさなくなり、必要な福祉まで削ってしまったので、個人のせいにするしかないのです。で、個人で誰が責任を取るとなると弱者しかいなくなるわけです。これを回避と診るなら引き篭もりでしょう。

http://webheibon.jp/blog/satomasaru/2013/08/post-72.html
http://university.chase-dream.com/edu_univ/elite.html
Posted by 何でも心が原因なわけない at 2014年08月28日 21:56
もともと不登校で現在引き籠りでニートです。
家族や他人と会話したり顔をあわせたりするのが嫌だと感じるのはシキゾイドですか?
目的を持たない限りは外に出ません


Posted by 雲 at 2014年09月18日 07:36
>何でも心が原因なわけないさん
なるほど。

>雲さん
1つの特徴でスキゾイドかどうかは判断できません。
また、嫌な理由によっても、判断は変わってきます。

スキゾイドパーソナリティ障害を自認される方の多くは、他人と関わるのが「面倒くさい」と表面上は言うが、その実、本当は「批判されるのが怖い」という回避性パーソナリティ障害です。まず、その2つを読み比べてみてはどうでしょうか。
Posted by モンキークリニック所長 at 2014年09月26日 13:31
同じ空間(テリトリー?)に人がいるのが
漠然と嫌なんです。

表現がするのが難しい

苦手?
Posted by 雲 at 2015年03月02日 11:07
1つの特徴でスキゾイドかどうかは判断できません。
Posted by モンキークリニック所長 at 2015年03月20日 21:48
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