対象恒常性

n1.png「あんた本当にかんごるー?」

k2.PNG「どうしたの?ワタシは見た通り、かんごるーよ」

n1.png「だって、なんか今日はいつもと雰囲気が違うし。偽物っぽい」

k3.png「まぁ。偽物ってどういうことよ」

n1.png「偽物っていうか、作り物って感じかな」

k3.png「なによ、失礼ね!」

n1.png「あぁ、わかった。化粧がいつもより濃いからだ」


ぶるどくたーによるミニ講座
b1.png「化粧や髪形を変えても同一人物と認識できるのが、人間のすごいところだよな」

対象恒常性とは、同一の物や同一の人物は同じようにありつづけるという意味を表す言葉だ。パーソナリティ障害、特に境界性パーソナリティ障害では、この対象恒常性が部分的に欠如しているんじゃないかと言われることがあるから説明しとくぞ。

例えば、今朝仕事に出かけて行った夫が帰ってきたら別人!なんてことは通常感じないだろう?もっと言ってしまうと、別の部屋に行った人間が出てきたら別人ということも起こり得ないとみんなわかっているし、自分が目をつぶっている瞬間に目の前の人間が入れ替わっているなんてことも普通考えないはずだ。まぁ、化粧をしている妻と化粧をしていない妻は別人だ!詐欺だ!と主張する気持ちはわからんではないがな。それでもどうにか気持ちを落ちつけて、妻という一人の同じ人間なんだろうと納得させられるのが普通の感覚だな。

つまり、対象恒常性とは見えていない時にも人や物(つまり対象物)は同じ状態でありつづけているはずだ(これを恒常性と言う)という思い込みのことを言うんだ。なぜ、思い込みというかというと、確かに確率は物凄く低いけれど実は対象がすり替わるってことは起こりえるからだな。物ならよく似た物と替えられてしまっているかもしれないし、人の場合は特殊メイクを施した別人と入れ替わっているのかもしれんだろ。超そっくりさんかもしれないしな。

でも、経験上そんなことは起こらないとみんな思い込んでいる。というよりも、思い込んでないと日常生活は送れないし、そういうレベルで人のことを疑いだしたら統合失調症という精神病の可能性が高いから受診するように。人間ってのは正確すぎてもダメな生き物で、「だいたい同じ」という感覚が非常に重要なわけだ。

境界性パーソナリティ障害やその他のパーソナリティ障害の一部ではな、どうもこの対象恒常性が獲得されていないんじゃないかというような一群がいると考えられているぞ。その場合は、丸ごとその人物が変わってしまったんじゃないかという疑い方ではなくて、その人物の気持ちが急に変わってしまったんじゃないかという内面の変化を疑ったりする形をとる。そういう意味で、対象恒常性の部分的な欠如と言えるんだな。

もし、自分が見ていない間に相手の気持ちが変わってしまったのではないかと感じてしまったとしたらどうなる?不安になるだろ。そして、変わったのか変わってないのか確認したくなるはずだ。そうして、境界性パーソナリティ障害の場合は、頻繁に自分への気持ちを相手に聞くという行為に至って、それが度を過ぎて疎ましがられたりすることになるんだな。決して、人を信用できないとか、悪気があってやってるわけじゃないんだよ。結果的にはそう見えるかもしれないけど、当人達にしたら相手が本当に同じ人間なのか自信が持てないという感じらしいぞ。こういうところから、見捨てられ不安にもつながってくるということを知っておいてやると、周囲の対応にもきっと余裕が出てくるはずだ。

余談だけどな、幼児の「いないいないばあ」って遊びは、乳児が対象恒常性を獲得していないために成り立つ遊びなんだぞ。「いないいない」と顔を隠すと、乳児はその人が本当にいなくなったように感じてしまって不安に陥る。その直後に「ばあ」と顔を出してやると、乳児は「いたーっ♪」と安心して非常に喜ぶというわけだ。おそらく「いないいない」の状態でその人がどこかに行っちまうことを繰り返したら、乳児は「いないいないばあ」の遊びが楽しくなくて泣き出してしまうだろうよ。
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