スプリッティング

n1.png「おはよーぶるっと先生。今日も元気にシワクチャだね」

k2.PNG「なや美ちゃん。もう少し目上の人への言葉遣いに気をつけた方がいいんじゃないかしら」

n1.png「は?何なの?あたし、アンタに注意される覚えないんだけど。ムカつく。最悪」

b1.png「まぁまぁ、いいじゃないか、ワシは気にしとらんよ」

n1.png「ほら、先生だっていいって言ってるじゃん」

k1.png「・・・先生がいいって言うならいいんですけど」

n1.png「やーい、バーカバーカバカナース」


かうんさるーから一言
c3.png「かんごるーさんは良かれと思って言っただけなのにね」

スプリッティングは「分裂」と訳されることがあるけど、分裂だと日常的すぎて心の働きとしての意味がわかりづらくなってしまうので、カタカナのままスプリッティングと言われることが多いよ。

スプリッティングは、嫌な出来事や嫌な気持ち等から自分を守るための心の働きである「防衛機制」の一つ。そして、防衛機制の中でもあまり洗練されていない、より原初的なものに分類されるよ。

パーソナリティ障害の人は、より高次の防衛機制を身につけていなくて、このスプリッティングを多用してしまうことで、対人関係がもめることになってしまう場合が多いんだ。

じゃあ、嫌なことがあった場合に、どんな心の働きが生じるかなんだけど、分裂というからには何かと何かの2つに分かれるっていうのはわかるよね。それは「善」と「悪」であることがほとんど。

例えば、パーソナリティ障害の人が誰かから注意や指摘をされた場合を考えてみよう。注意や指摘というのは自分に非があるということになるから、嫌なことだと思っておいてね。
パーソナリティ的に成熟した人は他人からの注意や指摘を、「自分の成長のため」と思って嫌だとは思わないなんて言う人もいるだろうけど、その「自分の成長のため」と理由づけをするのも嫌なことから自分の身を守る防衛機制の一つ「合理化」に当たるよ。合理化はスプリッティングよりは成熟した防衛機制なんだけど、人というのは自分が傷つかないように、意識せずにそういう風に心を守っているということを知っておこうね

さて、パーソナリティ障害の人は、注意や指摘をされた自分=非のある自分=ダメな自分、という風に感じてしまいやすくて、理想化と脱価値化の記事でも書いたけど、少しでもダメなところがある自分=全てがダメな自分、という風になってしまいがち。0か100かという感じ方だね。

全てがダメな自分と感じてしまったら生きていくのには辛すぎるから、ちょっとでもダメな自分とさえ感じてはいけない。だから、他人から注意や指摘をされても、自分に非があると認めることは簡単にはできないんだ。そこで、スプリッティングという防衛機制によって自分を守るということが起きてくる。

自分は悪くないと感じると、必然的に「相手の注意や指摘が間違っている」ということになるよね。すると、その注意や指摘だけが間違っているんじゃなくて、相手の全てが“完全に間違っている”、“相手は完全にダメな人”となってしまうんだ。その時、相手の良い面というのが、バッサリ切り捨てられてしまっている。その、バッサリ感がまさしく「分裂」という状態を表していて、相手の良い面と悪い面が切り離されてしまっていて、同時に認知できないというのがスプリッティングという状態なわけ。

パーソナリティ障害の人は、相手にはちょっと良いところがあって、ちょっと悪いところもあるという風に見ることがとても苦手なんだよね。

この場合のスプリッティングでは、相手は「悪」そのものになって、自分は「善」そのものになり、対決せざるを得なくなるから、注意や指摘が的を射てないだとか、独断だ!とか、偏見だ!とか、パーソナリティ障害の人はワーワー喚き立てて相手を非難し始めたりするんだよ。

でも、本人は自分が「善」だから悪いことをしているつもりは全くない。むしろ、不当な注意や指摘をされたことを否定することが当然の権利だと思っている。

また、そういう時の「善」なる本人もまた、スプリッティング状態にあると言える。自分の悪い面というのも切り離されて(棚に上げられていて)、完全な善なる存在になりきっているからね。

つまり、スプリッティングというのは対象(相手)に対しても生じるし、自分に対しても生じるものなんだ。良い面と悪い面が切り離された片面同士でコミュニケーションをとるから、そのパターンは、「善(自分)」+「善(相手)」でベッタリ仲良し、「善(自分)」+「悪(相手)」で犬猿の仲となりがちだね。自分のことを「悪」と感じてしまっている場合というのは、自己卑下、自己嫌悪で物凄い落ち込んでいる状態だから、あんまり人ともめることはないかな。人との関わりは、「善」とした相手から慰めてもらうという形になるね(大きく溜息をついてみたり、泣いてみたり、自分がいかにダメな人間かということを語って、相手は「そんなことないよ、君は素敵な人だよ」と言わざるを得ない立場に置かれる)。

そういう時にリストカットをしたりするんだけど、その時にもスプリッティングは関係しているかな。自己嫌悪の最中にリストカットをすると、ダメな自分を傷つけることで、他人から心配されて「(心配される)価値のある自分」という感覚を取り戻したりできたりするんだけど、その時には、「傷つける自分=罰を与える良い自分(善)」と「傷つく自分=罰せられるダメな自分(悪)」というスプリッティングが起きているからね。

あとは、パーソナリティ障害の人が2人の他人と関わると、1人を「善」、もう1人を「悪」にしちゃうこともよくあって、その2人が対立させられちゃうことも多いもの。それもスプリッティング。パーソナリティ障害の人に関わる時には、様々な場面でスプリッティングということが起きているから注意しておこうね。
この記事へのコメント
恐れ入ります。
元の家族のことをBLOGに書き始めました。
以前、家内がカウンセラーより「スプリッティング」の判断を受け、
その言葉の解説として、先生の記事がとてもよくまとまっていたので、
引用させていただきました。
事後報告でたいへん申し訳ありませんが、
お許しいただければ幸いです。
Posted by yaneporu at 2011年04月14日 14:19
引用に関しては全く問題ありません。
むしろ、まとまっていると感じてもらえたことを嬉しく思っています。
お互い、これからもブログの更新を頑張っていきましょう。
Posted by モンキークリニック所長 at 2011年04月15日 01:52
少し聞きたいことがあります

実は自分の彼女がもしかしたら
パーソナリティ障害かもしれないのですが..。 

少し特徴が違っていたり、わからないことがあったりしてて..。 

箇条書きにするとこんなかんじです。 

・本人のなかに5つほどの人格(?)がある。 

・それぞれの人格は、ほかの人格があることを理解している。 

・自傷行為はしても、他人には迷惑をかけたくない。 


彼女は今までツライことを経験してきています。 
今でもあります。 

思春期ですので、すごく傷つきやすいんだと思います。 

自分にはいつも明るく接してくれまるのですが..。 
そんなとこを見てると、どうにかしてやりたいと思ってコメントさせていただきました。 

まずは彼女が今、パーソナリティ障害なのか、
そうではないのなら、どんな状態にあるのかを知りたいです。 

よければお返事をください。
Posted by やまと at 2012年01月30日 13:43
18歳未満の方をパーソナリティ障害と断定することは、よほど特徴が顕著でない限りありません。
そのくらいの年齢にならないと、パーソナリティ(人格ないし性格)が固定化したとは言えないからです。
思春期は、病気としての言動なのか、一過性の不安定さによるものなのか、判断が難しい場合も多いので、心配いりませんとも、心配ですとも言えません。

ただ、箇条書きに書かれている内、「5つの人格がある」ことは、「解離性障害」の下位分類である「解離性同一性障害」の特徴の一つに当てはまります。
解離性同一性障害では、複数の人格が互いの人格を知っていることもあります。
逆に、本人が知らない人格が存在する場合も多いので、解離性同一性障害だとすれば、本人が自覚している5つ以上の人格が存在するかもしれません。

一方、箇条書きの3つ目の自傷行為に関することは、「境界性パーソナリティ障害」の方の意識に近いものを感じます。
境界性パーソナリティ障害の方は、解離性同一性障害の方のように複数の人格を持っているわけではありませんが、「あたかも自分は多重人格である」かのような話をすることがよくあります。

まとめると、@思春期特有の一過性の不安定な状態、A解離性同一性障害、B境界性パーソナリティ障害(未満)のどれかということになると思います。

申し訳ありませんが、仮に情報が増えたとしても、これ以上絞り込むことはできません。
できれば受診ないし相談を勧めてあげたほうがよい状態だとは思います。
Posted by モンキークリニック所長 at 2012年02月03日 21:52
貴重なご意見、ありがとうございました。

とても参考になりました。

相談についてはまた考えます。


本当にありがとうございました。

Posted by やまと at 2012年02月03日 22:43
回答だけ書いてしまいましたが、
やまとさんも彼女さんを見ていて心苦しいだろうなと思います。
お一人で無理をなさらず、相談できる人を見つけられることを願っています。
書き込みありがとうございました。
Posted by モンキークリニック所長 at 2012年02月04日 13:00
はじめまして。

あとは、パーソナリティ障害の人が2人の他人と関わると、1人を「善」、もう1人を「悪」にしちゃうこともよくあって、その2人が対立させられちゃうことも多いもの。

とありますが「悪」の方を孤立させて嫌がらせやいじめたりすることもあるのでしょうか。

Posted by 潤いのある人生 at 2014年09月29日 22:22
よくありますが、嫌がらせやいじめをしているという意識は薄く、本人の中では正当化されていることが多いです。
例えば、先に嫌なことをしたのは、その「悪人」の方であって、自分はそれに対して正当防衛をしているだけだとか。
あるいは、その人を孤立させることで、その人自身に悪いところがあると気づかせてあげているみたいな、変な正義感でカモフラージュされる場合もあるようです。
Posted by モンキークリニック所長 at 2014年09月30日 09:34
ありがとうございます。

趣味のサークルでパーソナリティ障害と思われる女性がいて3〜4年くらい前にその方と同年代の女性の関係が悪くなり、そのうち関係が良くなるものだと思っていたのですが現在、口を利く時は言い争いをする時だけの状態です。

きっかけになったのはパーソナリティ障害と思われる方が関係が悪くなった方の陰口を言ったのが原因のようで、その陰口の中にはある事ない事、嘘があったみたいです。その陰口を聞いた人から教えてもらってわかったようです。

私自身もパーソナリティ障害と思われる方から「〇〇さんがあなたに大事な話があるからサークルの飲み会に来てと言ってたよ」と言われ、実際行ってみれば大事な話など無く、関係が悪くなった方の悪口を聞かされるだけで後日、大事な話があると言った方に確認をとると、そんな事を言った覚えはないと言われ驚きました。

関係が悪くなった方が先月、サークルに行った時にパーソナリティ障害と思われる方から「このサークルに来るなと言っただろ」と嫌がらせを受けたと聞き、最近では私も暴言を吐かれたり、何度か虚言もあったりで、どうもターゲットにされている状態です。

今はパーソナリティ障害と思われる方と係ると疲れるので距離を置いてサークルにも足を運んでいない状態です。

長々と大変失礼しました。












Posted by 潤いのある人生 at 2014年09月30日 15:42
ターゲットにされるとあちこちであることないこと言いふらされるのでとても嫌ですね。
しかし、どうもパーソナリティ障害の方は、あることないこと言っているのではなく、「実際にあったことしか私は言っていない!」という意識のようです。事実が偏ってしまったり、歪んでしまっているのですが、そういう自覚は持てません。また、被害にあったという話をあちこちでするということが、実は誹謗中傷をしていることになりかねないということにも気がつきません。
打つ手がないので、今のところ距離を置くしかないと思いますが、他のサークル等に参加して気分が変えられるといいですね。コメントありがとうございました。
Posted by モンキークリニック所長 at 2014年10月15日 09:15
こちらを読ませて頂いて、、姉との対峙でいつもこちらが心折れてしまう原因が姉がスプリッティングだからだ、とわかりました。
症状はこちらに書かれていることそのままです。
私の生活にも支障をきたしています
実家のことを介して姉とはやりとりを今後も続けなくてはいけない実情です。逃げられません。どうしたらよいのでしょう
Posted by 須田由紀子 at 2016年02月12日 03:13
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