ストレス反応とトラウマ反応

c1.png「二人はいじめられたことある?」

k1.png「わたし結構いじめられたなー、でも辛かったけど今思えばいい経験だったかな」

n1.png「・・・あたしはよく覚えてないけど、かなりやられたと思うね」

c2.PNG「どんなことされた?」

k3.png「男の子にからかわれてねー、悔しくてよく泣いてたなぁ」

n3.png「基本無視。声をかけられるのは死ねと言われる時だけ。今でもその言葉が耳に残ってる」

c1.png「一言でいじめっていっても、全然違うもんだね」


ぶるどくたーによるミニ講座
b1.png「ストレスとトラウマの違いを覚えておくといいぞ」

 ストレス反応とトラウマ反応の最も大きな違いは、簡単に言えば「心に深く刻まれたかどうか」「傷跡が残るかどうか」だ。ストレス反応よりトラウマ反応の方が重症で、目安としては以下のような違いがみられるぞ。

(1)ストレス反応
a. ストレスの原因がなくなり、安全な状況になれば症状はなくなる
b. 原因の言語化および感情の再体験にそれほど困難さはみられない
c. 身体症状や気分の落ち込み、苦悩がみられる

(2)トラウマ反応
a. 安全な状況になっても、過酷な想起によって症状がなくならない(侵入体験)
b. 原因の言語化に困難さが伴い、感情の再体験はコントロールが不可能(回避・麻痺)
c. 些細な刺激に驚愕したり、異常に知覚が過敏になる(過覚醒)

ついでに、「PTSD」、「急性ストレス反応または急性ストレス障害」、「適応障害」についても区別しておくぞ。

「PTSD」は、(2)の状態が見られる場合にしか診断名がつけられることはないが、「急性ストレス反応」または「急性ストレス障害」という診断名は、(1)でも(2)でもつけられることがあるな。ストレス環境のもとで一時的に症状が出現したという意味で用いられる場合は(1)の状態に当たるが、命に関わるような大きな出来事の直後に、PTSDと同じような症状が見られることもあり、その場合は(2)の意味で用いられる。

似たようなところで、「適応障害」はもっと混乱していてわかりづらいな。適応障害はDSMでは独立して「適応障害」という分類があるが、ICDではPTSD等と同じく「ストレス関連障害」の中に含まれているといった違いがある。一般に広く浸透した適応障害という言葉は前者の意味で、「抑うつ症状や身体症状等が出て、家事、学業、職業等の社会生活に支障が出ている状態」といった感じで、比較的軽症のように思われているな。おそらく内科や心療内科で言われる適応障害はこちらの方だ。一方、一般的に広まっている概念とは異なり、精神科ではPTSDを軸としてトラウマを中心として捉える適応障害もあるぞ。例えば、原因が災害や事故等といった衝撃的かつ致命的な出来事ではないが、いじめ被害等、長期に渡ってストレスを受け続けているような場合に、慢性的に(2)のような状態が出現することがある。その場合は、比較的重症として考えられる適応障害と言えるわけだ。

今日は治療方法については、かうんさるーにバトンタッチするぞ。


かうんさるーから追加で一言
c3.png「ストレスとトラウマはカウンセリングでの取り扱い方が違うよ」

ストレスは苦悩を伴うけど、日常的に意識していることが多いもの。だから、カウンセリングで比較的早くから語らせても問題ない。感情を出せるし、感情を言葉にできた喜び等もあって、比較的スッキリしていくことがあるね。

一方、トラウマは衝撃的すぎる出来事に直面してしまって、心の許容量を超えてしまうような程のものだから、日常的には意識しないようにされているんだ。意識しないようにしているにも関わらず、突然その記憶が蘇ってきたりするからとても苦しいね。だから、カウンセリングでは、トラウマの想起をあまり急ぎすぎてしまっては本人が耐えられなくなってしまうので、安全な状況を用意して準備が整ってからにすべきなんだ。また、しばらくの間はトラウマに対して一人で対処することができないはずだから、(例えば毎週カウンセリングを行う場合)「カウンセリングの無い6日間」をトラウマにさらされないように配慮しなくちゃいけない。つまり、

・カウンセリングという安全な状況を実感してもらう
・感情的に耐えられる程度の話に留めておく
・カウンセリングで蓋をして日常生活に影響が出ないようにする
・カウンセリング内で段階的に想起することを増やしていく

という流れを意識しておくことが必要になるね。そこには細やかな配慮もとても重要。人の苦しみってのはね、誰かに話せばいいとか、真剣に聞けばいいってもんじゃないんだよ。安易に語らせてしまうことで、逆に状態が悪化するということがあるってことを知っておこう。

そういうことを知らないあるいは考えていない、または功名心や自信の無さに焦って深く聴きすぎちゃうカウンセラーがいるから、精神科医に「カウンセラーは患者をいじって悪化させるから嫌だ」と言われることがあるんだよ。みんな気をつけようね。傾聴だけに頼りすぎるカウンセラーは危ないよ。
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