部分的焦点づけ:認知の歪み(6)

k1.png「最近、目尻のシワが気になるのよー」

c2.PNG「えー?全然、目立ちませんよ?」

k2.PNG「ほら、ココよココ。薄く線ができ始めてるでしょ」

c2.PNG「うーん、そう言われれば、うっすらと…?」

k1.png「シワさえなくなれば、ワタシもまだまだイケてると思うんだけどな」

n1.png「いや〜、それがなくなってもオバサンはオバサンだよ」

k3.png「まぁ、ひどい!失礼しちゃうわね!」


かうんさるーから一言
c3.png「なや美ちゃん。歪んだ認知は、そのままにしておいてあげるのも優しさだよ」

部分的焦点づけは、自分が気にしている部分にばかりとらわれて、全体を見ることができなくなる認知の歪み。焦点(フォーカス)を当てすぎてしまうってことね。全体と部分の関係は相反しているのが前提で、@『全体的には失敗しているのに、一部うまくいっているところしか見えなくなる』、A『全体的には成功しているのに、一部うまくいっていないところしか見えなくなる』の2パターンがあるよ(「成功」と「失敗」は「良い」と「悪い」等に置き換えてもOK)。

@は、ポジティブ過ぎる人、悪く言えば、反省しない人や自慢しがちな人に当てはまるよ。
例えば、傍から見るとうまくいってないように見えるのに、本人は「いいの、これで」と言い張ったりする。自分が注目しているところこそが重要な部分で、そこがうまくいってればよくて、その他の部分は大した価値が無いように思えて目に入らない。だから、全体的には失敗していてもうまくいっていることになってしまい、結果的に改善しようとしない。本人にとっては問題ないんだけど、周りはやきもきするよね。なんでもかんでも前向きにポジティブに、っていうのは良い面ばかりじゃないんだよ。視野を広くもって、失敗している部分があれば認め、反省するところは反省できるようになりたいものだね。

Aは、逆にネガティブ過ぎる人、例えば、抑うつ的な人や不安がちな人に当てはまるよ。
極端に言えば、99点とったのに、1点間違えてしまった問題のことばかり気にして落ち込み、“99点とれた”という事実が見えなくなってしまうこと。テストの点数の例えなら、「そんな1点気にすることないのに」とか「99点とれたなんてすごいじゃん」と言う人が多いとは思うけど、これを対人関係に当てはめると、そうは言えない人が増えてくるよ。

対人関係では「誰にも嫌われたくない」と思っている人が案外多くてね。「ある人に嫌われている気がする」と悩み始めると、なんとかその人に嫌われないようにあれこれ考えて、不安になったり、落ち込んだりしてしまう。「あぁ、嫌われちゃったなぁ」なんてなかなか流せない。どうやら誰かに嫌われることは、それがたった1人だとしても、1点間違えることより断然受け入れがたいことみたいなんだよね。

でも、誰にも嫌われないようにするって現実的かな?対人関係で100点取るなんて可能なのかな。実際には、好かれたり嫌われたりすることがあって当然じゃないかな。あと、一度嫌われたらおしまいじゃなくて、関係が改善したりすることもあるんじゃないかな?

悩んでしまったら、99点のテストの例えを思い出してみよう。そして自分の人生を振り返ってみよう。自分は今までに99人(とはいかないまでも大多数の人)とは良好な関係を築けてきたはずだ、と。今、嫌われてしまったかもしれない1人だけに焦点を当てるんじゃなくて、「良好な関係を築けた人が99人もいる」という方に焦点を当てられれば、認知の歪みは改善され、嫌われたと思って落ち込みすぎることは減るかもしれない。

必ずとは言えないけれど、カウンセリング(特に認知療法)を受けると、そういう風に“物事の見え方”が変わることがあるよ。事実は変わらなくても、見え方が変わって、気持ちが変わる。そういうのは体験してもらえないと、うまくは伝えられないけどね。百聞は一見にしかず。体験した者勝ち、と思い切って相談に行ってみるのもいいと思うよ。

※余談だけど、こういう例え話を書くと「99人に嫌われる私はどうしたらいいですか?」って質問がきたりするんだよね。だから先に回答を書いておくよ。

「そうなったら、それはもう認知の歪みじゃなくて、パーソナリティの歪み。カウンセリングが必要です」



【追記】
美容整形を繰り返す人の心理にも、部分的焦点づけという認知の歪みがあるかもしれない。一カ所直しても、また、気になるところが出てきてしまうからね。精神疾患としては、醜形恐怖や自己臭恐怖も部分的焦点づけが関係するかも。というよりも、部分的焦点づけが固定化してしまうと「妄想」ということになるのかな。



認知の歪み
@白黒思考
Aマイナス化思考
Bべき思考
C感情的推論
D飛躍的推論
E部分的焦点づけ
F自己関連づけ
G過度の一般化
H過大評価・過小評価
Iレッテル貼り
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