離脱症状/禁断症状

b2.PNG「おい、目ざわりだから、そこの虫とってくれよ!」

k2.PNG「そんな言い方しなくても…。え?どこに虫がいるんですか?」

b3.png「そこだよそこ、ムカデみたいのが這ってるじゃないか!」

k3.png「え!ムカデ!?…やだ、おどかさないでくださいよ、いないじゃないですか」

b1.png「あ、ああ。そうか、すまんな。こりゃ、いつものアレだ」

k2.PNG「イライラして、一体どうしたんですか?」

b1.png「最近、酒飲んでないと虫が見えるんだよ。でも、アルコール依存症じゃないぞ」

k3.png「いや、そこまできたら、否認するにも無理があるでしょ」


かうんさるーから一言
c3.png「問題児だらけのモンキークリニック」

この記事の前提として、依存症については“アルコール依存症”や“性依存症”を見てね。

離脱症状は、薬物やアルコールへの依存症になってしまった場合に、薬物やアルコールを摂取していない時に出る症状のこと。一般的には「禁断症状」と呼ばれているね。その症状は大きく分けて2つ。1つは、欲しくて欲しくてたまらなくなってしまったり、不安や焦りで落ち着きがなくなったりする「精神的な症状」で、もう1つは、頭痛や手が震えたりする「身体症状」だ。大きく分けると2つだけど、いずれの症状も十人十色、「これが離脱症状です」という1つの症状があるわけではなくて、めまい、吐き気、発汗、頻脈、不眠、焦燥感、イライラ、現実検討力の低下など多岐に及ぶよ。

薬物やアルコールなどへの依存は、「物質依存」に分けられるもの。物質依存の場合は、その特定の物質を体内に摂取し続けることで、それが体の中にある状態が“当然”になってしまうんだ。だから、それが体から抜け始めると、逆に“異常”な感じがする。落ち着かなくなり、そわそわし始め、薬やお酒を強く求める。摂取すればするほど、体には耐性がついてしまい、少量や効果の少ないものでは満足できなくなってきて、多量のお酒や強い薬物を求めるようになる。そして、さらに多く、強いものを求め…と依存症は強度を増していく。強度の増した依存症は、当然、その離脱症状も強くなる。

薬物やアルコールへのひどい依存の場合には、幻覚なども出現したりするよ。

小さな虫が、ウゾウゾとたくさん自分の腕に這っていたり、壁にゾワゾワと蠢いていたりするのが見えちゃったりするみたいだね。いまいちそういう幻覚の恐怖にピンとこないなら、例えば、葉っぱの裏を見たらびっしり黒いゴマみたいな虫がついてたり、手の平くらいの石を持ちあげたらその下に団子虫が大量にいたり、木の幹から木の皮をはがしたら、白くて小さい蛾の幼虫が一杯張り付いていた時とかを想像してみるといいよ。うわわ、鳥肌が立っちゃうね…。

じゃあ、ギャンブル依存やインターネット依存なんかの場合はどうだろう。

ギャンブルやインターネットなどへの依存は、「プロセス依存(行為依存)」といって体内にアルコールや薬物を摂取するのとは異なり、直接、離脱症状として幻覚などが起こることは少ないよ。幻覚の替わりに、パチンコやスロット、競馬などのことばかり考えたり、オンラインゲームやチャットがしたいと四六時中考える、つまり、空想ばかりして目の前のことが二の次になってしまったりする。学校や仕事に行ってても、終業時間を心待ちにして、その間ずっとその時ハマっていることしか考えない。空想ばかりするから現実感が失われていく。地に足がつかないような、自分の実体がここには無いような感覚にもなる(離人感)。当然、勉強や仕事は手につかない。間違えることが増え、成績は落ちる。それらは離脱症状とまでは言えないのかもしれないけど、正常な状態とは言い難いよね。

さて、少し話は変わるけど、摂食障害やリストカット、逸脱した性行為などを含む自傷行為にも、依存症に似た側面があるので、悪化の経過の一例を書き出しつつ、そうした場合の離脱症状もみてみよう。

摂食障害の過食嘔吐の場合、うまく吐けるようになればなるほどスッキリ感が強くなるので、過食する量が増え、嘔吐の頻度も増えるという悪化をたどるんだけど、過食嘔吐は、「過食という物質依存的な行為」と「嘔吐というプロセス依存的な行為」の2つが存在するから、特にそのメカニズムが複雑なんだよね。「食べたい(食べなきゃ)」というのは、アルコール依存症の「お酒を飲みたくて仕方がない」という離脱症状に似ていて、「吐きたい(吐かなきゃ)」というのはプロセス依存の「したくてたまらない」離脱症状に似ているし、摂食障害は本当に理解することが難しく、一言では説明し難いなぁ。

リストカットの場合、最初のきっかけは、はっきりとした嫌な出来事だったのに、次第に、なんだかモヤモヤするというだけで切るようになり、痛みを感じづらくなり、だんだんと傷が深くなる。とにかく無性に「切りたい、今すぐ切りたい、切らなきゃ耐えられない!」と思うようになったら離脱症状レベルで、そうなるともう外出先のトイレあたりで切ってしまうようになる。

性依存の女性の場合、例えば、なんとなく退屈で始めてみた出会い系サイトで知り合った男性とSEXをする。男性に抱かれている間だけは心が満たされた気がした。けど、その瞬間はとても短く儚く、「もっと愛されたい」と求めるようになり、不特定多数の男性と寝るようになる。すると、逆に、一人で過ごすことが寂しくて苦痛でたまらなくなり、どんな人でもいいから男性に会いたくなる(これが性依存の場合の離脱症状と言えそう)。一人でいられないので、さらに多くの男性と出会う。そんな中、金銭を得るという付加価値が加わり、援助交際(売春)に発展、あっという間に風俗で働くようになるほど、性行為への敷居が低くなる。

離脱症状が苦しくて、それを解消するために、また依存してしまう。ひどくなっていく、その悪循環がとても怖いね。離脱症状への対策は「我慢すること」しかないよ。そのためにカウンセリングを利用してもよし、自力じゃ難しいほどの依存症なら、症状を緩和する薬物療法や離脱症状がおさまるまで入院治療が必要。じゃ、離脱症状および依存症について、また少しみんなの理解が深まったらいいな、と思いながら今日の話はおしまい。またね。


今日のおまけ
n1.png「よくわかったよ。つまり、夜中に目が覚めたら天井から自分を見降ろし…」

c2.PNG「『幽体離脱症状』じゃないよ」

n1.png「じゃあ、アダムとイブは決して食べてはいけないと言われていた赤いリ…」

c2.PNG「『禁断の症状』ってわけでもないよ」

n3.png「せめて最後まで言わしてよぉ」
この記事へのコメント
以前この記事をリクエストさせていただいた者ですm(_ _)m

まさか本当に書いていただけるなんて(^O^)
ビックリしました!
また、楽しく自分を発見出来たと思いますし、勉強になりました♪
入院は考えていませんが、カウンセリングで治療していきたいと思います。
あ!何故か報告させていただきます(笑)→カウンセラーさんにカッターを預けました。これから3週間切ることができなくなります。がむしゃらに頑張ってみますね♪

ありがとうございましたm(_ _)m

また来ます(^_^)v
Posted by Ami at 2012年05月17日 13:36
だいぶ書くまでに時間が経っちゃいましたが、どうにか書けてホッとしてます。
脱リストカットのために頑張ってるんですね。応援してます。もし、めげそうになったら、ここに離脱症状の辛さを書いてもらえたらなぁと思います。
少しは気が晴れるかもしれないし、この記事にも「体験者の声」が加わるので一石二鳥(?)かもしれませんので^^
Posted by モンキークリニック所長 at 2012年05月18日 23:27
凄く分かりやすくてとても良いと思いますよ♪

そうですねぇ、Amiの場合は始めに“切りたくて切りたくてたまらない”ってなって、でもカッターを預けていたので“切れなくて”そしたら、“身体が震えてきて、過呼吸状態、全身の圧迫感・痺れ、座っていることすら出来ずにそのまま倒れて硬直、先生を呼ぼうと思っても声が出ず、顔も痺れに痙攣?、白眼向いてたそうです。”


少しすると、声は出るようになりました。
動けるようになったのは1時間半〜2時間ぐらい経った後だったと思います。


怖かったのは、身体が動かせなかったのと、圧迫感と、手が黒紫になって変な風に折り曲がったまま思うように力が入らなくなったことですね。
声が出なかったのには流石にビックリしましたが(笑)


簡単に言うと過呼吸の酷い感じだと思います。
まぁ、過呼吸+α=禁断症状


やはり、誰かがそばに居てくれると、それだけで安心できます♪
Amiの場合、早い段階で喋ることが出来るようになったので、喋っていても気が紛れて良いと思いました☆


スミマセンm(__)m
凄く長くなってしまいました(ToT)


書き込ませていただきありがとうございました(*^o^*)
Posted by Ami at 2012年05月19日 11:55
書き込みありがとうございます。
もしかすると、Amiさんの主治医は、わかりやすく伝えるために「禁断症状」と言われたのかもしれないなと思いました。
今回書いてくださったのを見ると、「ヒステリー(発作)」であるように思います。つまり、「離脱症状として、ヒステリー発作が起きた」というのが正確ではないかと思います。
ヒステリーといっても、日常で使われる「キィーッ!」と怒るような意味ではないので、その辺は、調べてみてくださいね。「ヒステリー」は、最近は、そういう日常用語と紛らわしいので、あまり使われなくなったのですが、結構奥が深い概念です。

下記、参考にしてください。

【ヒステリー発作】
http://www.hayashi-dorin.or.jp/booklet/index17.html
Posted by モンキークリニック所長 at 2012年05月21日 22:44
詳しく説明していただきありがとうございますm(_ _)m♪

自分のあの時の状態は“ヒステリー発作”だったんですね!

やはり、自分を知ることができると安心出来ますね(*^ω^*)

返事を頂いて読ませてもらった時、嬉しくてテンションが上がりましたよ♪

教えてくださったサイト、覗かせていただきました☆
分かりやすく、理解が深まりました。
ありがとうございます。

また来ますね(^_^)v
更新楽しみにしております♪
Posted by Ami at 2012年05月22日 21:40
どういたしまして^^
コメントのやりとりの勢いで、更新もしてみました(笑)感謝です。今後とも応援よろしくお願いします。
Posted by モンキークリニック所長 at 2012年05月24日 02:51
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