ザ・カウンセリング

n1.png「カウンセリングって話して何になるの?」

c1.png「話しながら、知らない自分の一面とかに気づきたいなら、多少役に立つとは思うけど」

n1.png「うーん・・・。絶対よくなるの?」

c1.png「絶対治る手術も、絶対勝てる裁判もないよね。絶対よくなるカウンセリングもないよ」

n1.png「じゃあ、やる意味ないじゃん」

c1.png「100%よくならなきゃ意味がないという考えならそうなっちゃうね」

n1.png「当たるも八卦、当たらぬも八卦ってことなら、占いで気休め言ってもらったほうがマシだよ」


かうんさるーから一言
c3.png「他人のカウンセリングを覗き見できたらいいのにね、ということで創作してみたよ」

───はカウンセラーの言葉、無印斜体はクライエントの言葉ね。では、妄想カウンセリング、スタート。
----------------------------------------------------------------------------


───今日はどうされました?
私、料理うまくなりたいんです。どうしたらうまくなれますか?

───うまくなりたいのですか。料理本などを参考にしてもうまくいかないのですか?
料理本は読まないですね。

───味付けに自信がないということでしょうか?
味付けというか全般的に料理に自信がないんです。

───包丁で食材を切ったりするのも苦手ですか?
包丁は持ってますけど、錆びててほとんど使ってません。

───研いだりしないのですか?
私、聴覚が過敏で、研ぐ音が好きじゃないんです。


----------------------------------------------------------------------------
という感じなので、逆にうまくなるためにやっていることは何かきいてみることにしたんだ。すると、フライパンはよく磨いているとのこと。でも、フライパンを磨いている内にいつも料理をする気がなくなってくるんだって。フライパンを磨く?なんだか違和感を覚えたので、そのことについてもう少しきいてみたよ。
----------------------------------------------------------------------------

───フライパンを洗う?磨く?
磨くんですよ。だって、汚れたフライパンでは、おいしい料理なんて作れるはずがないじゃないですか。

───確かにフライパンを清潔にするのは大事だと思います。ただ、料理をする前にそれほど時間をかけて磨くというのはあまり聞かない気もします。
まあ・・・。でも、磨き始めると異常にこだわってしまうんです。完璧に綺麗にならないと気が済まないっていうか。

───なるほど、料理本は読まず、包丁は錆びたまま、フライパンを完璧に綺麗にしようと磨いているうちに料理をする気がなくなってくる。
そうですけど・・・。そんな言い方されたら、私がバカみたいじゃないですか。

───バカだなんて言ってませんよ。これからどうするかのために、まず、状況を確認したいんです。
私はどうしたら料理がうまくなるか知りたいだけなんですよ。

───大事なのはそこですよね。ただ、フライパンを磨いているうちに料理をする気がなくなってしまうというのも大事なポイントだと思います。
何なんですか?フライパンを磨いているのがそんなに悪いっていうんですか?!そういう無駄な努力をしてるからいけないって言いたいんですか?!

───うーん、良いか悪いかではなく、ひょっとしたら的外れな努力かもしれないことをやめられたら、今より前向きに料理の練習をしていけるようになるんじゃないかな、と。
料理なんてしたらせっかく磨いたフライパンが汚れるじゃないですか!それが嫌なんですよ!料理の練習だってしたくないんですよ!料理は苦手だって言ってるのに!うまくなれないならもういいです!カウンセリングなんて役に立たないんですね!


----------------------------------------------------------------------------
あらら、怒ってしまったね。負荷がかかると攻撃的になる方のようだ。でも怒りによって、「練習せずにうまくなりたい」という本音がポロッと出てきたぞ。きっと他の人の話ならどこがおかしいかわかるだろうけど、自分のことになるとどこがおかしいのかわからなくなってしまうんだろうな。冗談みたいな会話に見えるかもしれないけど、こういう無茶な要求や本末転倒なやりとりがカウンセリングの初期には案外あるものなんだよ。
----------------------------------------------------------------------------


───確かに、今のところ役に立ってないですね。役に立ちたいので、もう少し考えてみませんか。
・・・。

───フライパンを汚したくないという気持ちも大事にしたいので、当面フライパン磨きは続けていくことにしましょう。他に何かできそうなことはあるでしょうか。
わかりません。

───(ふてくされちゃったなぁ)たまには、フライパン磨き以外のことをしていることもあるでしょう?
そりゃ、いつもフライパンばかり磨いているわけじゃなくて、たまにはネットでレシピ見たりもしますけど。

───どんなの見たことあります?
この間、パエリア作ったことないなと思ってレシピ見ながら作ってみたんですよ。でも、夫が一言「まずい」って。

───苦手だけどやってみたんですね。もちろん、自信がないからレシピを見て。でも夫は「まずい」と。
ええ。ただ、ご飯を黄色くするためのサフランがなかったので、うちにあったカレー粉で代用したんです。それがどうもまずかったみたいで・・・。

───カレー味になっちゃいますもんね。
ですね・・・(苦笑)。でも、「まずい」なんて言わなくてもいいじゃないですか。ひどいですよ(泣)

───ショックだったでしょうね。苦手でも結構手間かけて作ったのに。ああ、でもだからこそ、料理うまくなりたいって強く思うんですね。
そうですね・・・。でも、うまくなりたいより、苦手なのをわかってほしい方が強いかも。上手に作れるのが当たり前って思われると辛くて。よその奥さんはみんなできてるぞって言われてるみたいで(泣)

───妻失格、と言われているような気になってしまうかもしれないですね。
本当にそう。料理だけじゃなくて、夫からはいつもダメ出しされている気がします。毎日、家にいるのが苦痛で・・・。


----------------------------------------------------------------------------
この奥さんは夫に苦しめられている被害者だという意識になっているね。その状態が毎日続いていたら苦しいだろうな。ただ、食べたことないような薄いカレー味のパエリアを出された旦那さんも「俺の方が被害者だ」と不満に思っているかも?それはさておき、少し雰囲気が変わったよね。もう質問しなくても自発的にエピソードを話すようになってきたし、どうやら怒りの裏には悲しみや苦しみがあるということがわかってきたぞ。すると、本末転倒で的外れと思われたフライパン磨きの意外な理由も明らかに。
----------------------------------------------------------------------------


───特に夕食あたりがきつそうですね。旦那さんが帰宅すると思うと憂鬱になりそう。
もう毎日、うつですよ。あ、夕食で思い出したんですけど、昔、母が料理するとき、ものすごい汚いフライパン使ってたんですよ。あれ?鍋だったかな。とにかく何かがこびりついてとれないような。幼い頃にそれを見ていて、ずっと嫌だなと思ってたんですけど、とうとう母には言えませんでした。母は怖いし、私が我慢すればいいかと。父はそんな母をよく馬鹿にしてましたよ。「飯がくせえ!食えるかこんなもん!」と怒鳴ったりもしていました。私は夕食の時間が嫌いでした。一家団欒なんてうちにはなかったから。

───辛い思い出ですね。もしかすると、それはトラウマと言えるものかもしれません。ああ、だから、フライパンを綺麗にしておかなきゃって思ってしまうのかも。
もしかして、フライパンを磨くにもちゃんとした理由があるんでしょうか。母のようになりたくないってこと?でも、そうかも。気がついていなかった、全然。考えたこともありませんでした。

───はっきり気がついてはいなかったけれど、もしかしたら、薄々、何か思うところがあったからこそカウンセリングに来たのではないでしょうか。料理教室ではなく、カウンセリングを選んだご自身の感覚を大事にしましょうよ。料理をうまくなるより、心にひっかかっていることの方にしばらく向き合ってみませんか?
そうですね・・・。そう考えたら、料理を避けているのも、夫にまずいと言われたショックだけじゃなくて、もっと他に理由があるのかもしれません。だいたい、昔から私はいろんなことに自信がありませんでした。友達といてもどう思われるかが気になり、好きな人ができても嫌われるのが怖くて〜(以下略)。


----------------------------------------------------------------------------
以上、ほんのさわりの部分をかなり省略しつつ、でたらめな空想にまかせて勢いで書いてみたんだけど、なんだか『フライパン磨き妻』はどこかに実在するんじゃないかと思えてきてしまった(笑)。完全創作だからモデルさえいないんだけど、いかにもわざとらしくカウンセリングしてますって雰囲気が出すぎないように一触即発感を出そうとしたら妙にリアルだ。こんなので、カウンセリングでの対話が日常会話とはちょっと違うのだということが伝わればいいんだけど。

意外と、「自分自身に向き合おう」という意識が最初から高い人はあまりいなくて、「できれば苦労せず解決方法を手に入れたい」という気持ちで始まることが多いカウンセリング。このケースでは、カウンセラーへの怒りを契機に、内省が始まったね。あるいは、「カレー味のパエリア」で苦笑いしちゃったところで。

ただ話して、ただ聞くのではなく、感情が揺れ、記憶が掘り起こされ、少し意識が変わる。バラバラだったものがつながり、わからなかったことが少しわかる。どうせダメだと思ってたことが、どうにかできるかもしれないと少し思う。逆に、副作用みたいにカウンセラーへの苛立ちが出てきたり、やっぱりカウンセリングをやっても無駄だ、意味がない、効果がないという諦め感が出てくることもある。

そういう様々なことがカウンセリングでは起きる・・・かもしれない。起きないかもしれない(笑)起きたらいいな。いや、一緒に起こそうよ。カウンセリングは共同作業なんだから。

(前回の『主体性』の記事の文章がきつすぎるということで今回は柔らかくしてみたよ。てへぺろ)
【カウンセリングQ&Aの最新記事】
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]
※所長とカウンセリングをしているクライエントが書き込んでしまうためコメントの受付を停止しています。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/418702699

この記事へのトラックバック
サイトの説明
モンキークリニックはインターネット上にしか存在しない架空の名称です
MONKEY(モンキー):[名]小型の尾のある猿 [動]ふざける
CLINIC(クリニック) :[名]臨床講義/臨床教室/診療所
このページではパーソナリティ障害,人格障害,治療,カウンセリング,臨床心理,心理士,心理療法,精神疾患,発達障害,統合失調症,気分障害,うつ病,双極性障害,躁うつ病,気分変調性障害,ディスチミア,心的外傷後ストレス障害,PTSD,急性ストレス障害,適応障害,解離性障害,不安障害,パニック障害,強迫性障害,恐怖症,摂食障害,拒食症,過食症,依存症,身体表現性障害,性同一性障害,失調型パーソナリティ障害,スキゾイドパーソナリティ障害,妄想性パーソナリティ障害,境界性パーソナリティ障害,自己愛性パーソナリティ障害,演技性パーソナリティ障害,ボーダーライン,BPD,反社会性パーソナリティ障害,回避性パーソナリティ障害,依存性パーソナリティ障害,強迫性パーソナリティ障害,注意欠如多動性障害,ADHD,学習障害,LD,自閉性障害,自閉症,アスペルガー障害,家庭内暴力,ドメスティックバイオレンス,DV,モラルハラスメント,セクハラ,パワハラ,いじめ,ひきこもり,アダルトチルドレン,ミスターチルドレン,リストカット,オーバードーズ,ODといった概念について猿なりに解説しています。
臨床心理士各位
内容に多少の脚色や都合のよい解釈、偏った意見などが見られると思いますが、まずはどんな方にも興味を持って読んでもらえないと意味がないと考えてのことです。大目に見てくださいますよう宜しくお願い申し上げます。 カウンセリング普及プロジェクト
カウンセリングはかっこわるくない!

キーワード

パーソナリティ障害

カウンセリング

臨床心理士
ひきこもり
モンキークリニックロゴ